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zoom RSS 「そこで生きたいんだ」〜演奏後記・首都オペラ「ミニョン」〜

<<   作成日時 : 2011/09/08 01:58   >>

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虫の声。

いやはやすっかり季節は秋の気配。


今夜は何だか月も明るくて。

寝違えた首を庇いつつつい夜空を見上げて見たりしています。





しかしですね。

実に二か月にもわたってブログ放置でした(汗。


まぁ特に書くことがなかったんだと言えばそれまでですが(汗

その間ずーっとかかりっきりになっていた本番が

やっと先日終わりました。



9月3日歌ってきました。

首都オペラ「ミニョン」


台風が接近する中

もしかしたら中止かしらと心配しましたが

沢山のお客様にも来て頂け、何とか無事終わりました。



あれだけ稽古をしたのに

本番は何だかあっというまに過ぎてしまって

今はだいぶ抜け殻状態です。


まぁ、それでいいのだと思いますが。



私の歌ったフィリーヌの役柄というか役目のようなものは

なんとなく想像して稽古に入ったつもりでしたが

立ち稽古が始まってみると


「で、ここで無理やりキスされてください」

は?


「あ、でここで好きに踊ってください」

え?


「あの、ここはフレデリックに馬乗りになって」

おお?


ああ、やっぱりこの手の役は大変だ・・・。

と言うのが出だし。



まぁ

そんな腹はもうずいぶん前にくくっているつもりですけど


某研修機関のコンサートで「ホフマンの舟歌」をメゾの友人と歌って

「色気が足りない」とバッサリ言われてから苦節7年ですか・・。

ちょっとづつそういう表現が出来るようにはなってきたつもりでしたが

またもう一つ壁を越さないとなぁ・・。

と言う感じでした。



稽古から相手役とキスの練習を何度も繰り返し

踊りの振り付けを知識も経験もない頭と体で

あーでもないこーでもないと鏡の前で試行錯誤

ちょっとでも綺麗に馬乗りになれるように

もともと開きの悪い股関節をストレッチする毎日でしたね(笑)。



勿論それだけに

やりがいのある役

本当に勉強になった役だったと思います。



来て下さったお客様からも

今まではあまり耳にしなかった

「色っぽかった」

とのお言葉を恐縮にも頂けたりしました。。

その意味では少しは成長できたのかなぁ・・と思います。




・・・これが

実生活でも発揮できるといいんですが(笑)



いえ。

冗談です。





真面目な話に戻ります。


演出稽古を進めていく中で

自分の描くべきキャラを考えていく時

全体的な役と役のバランスや関係性を

皆さん考えると思うのですが


今回の「ミニョン」においては

やっぱり主人公ミニョンの役柄の特異性が

すごく強いなぁと思いました。


大体オペラの主役で

こんなに虐げられて、運命に翻弄される役

あんまりない気がします。


難しい生い立ちから里子に出されて

その先で誘拐に遭い

サーカスの見世物として踊らされ


男でも女でもないと言われ

人として扱われず

言葉も上手くしゃべれない

自分の家族の事も

自分の年齢も名前もわからない


想像つかないですよ、このものすごい孤独感。

そんな状態で人間はどうやって

自分の存在を肯定することが出来るんでしょう。


彼女の中にあるものは

彼女を支える唯一のものは

うっすらと記憶に残る故郷の幸せな情景。


それと恐らく初めて自分を人として扱ってくれた

自分を助けてくれたヴィルヘルムに対する思慕。


たったそれだけですよね。

それがミニョンの全てです。


でもそのたったそれだけの事が

何よりも強いっていう。


「私はあそこで生きたいんだ」

「生きて誰かを愛して愛されたいんだ」


そんな

小さくてみすぼらしいミニョンの中にある

本当に純粋で素朴で

強烈で絶対的で

人間の根っこの底の方にある


「生きる事に対する欲」


それを表現することが

今回はこのオペラの上演の要なんじゃないかと

勝手ながらも思いました。



フィリーヌはそんなミニョンと対極に位置する役柄です。

だからフィリーヌが

華美で優雅で装飾的で

作為的で技巧的であればある程

そのうわべの美しさが鼻に付けばつくほど

ミニョンの持っている「純粋な生」の

美しさと強さとが引き立つんじゃないかと。


そんなことを思いながらおりました。



そしてその「ミニョン」の姿に

いろんな事を客席で感じながら見て頂けたらなぁと。



どのくらいの事が舞台から

客席の皆様に伝わったのかは分かりません。


舞台芸術は

もちろん「美しいもの」「楽しいもの」「憧れるもの」

気持ちのいいものをそこに見出して

共感したり、楽しんだり、癒されたりする事が一番だと思うのですが


その一方で

誰か新しい人と出会う時のように

その舞台に触れることで心の中に何か疑問がわいたり

何処か居心地の悪さを感じたり

自分の今の生活や将来の事、

或いは現代の世の中の事、ものの考え方

何でもいいんですが

何かの影響や変化を与えるものでもあって欲しいなぁと思います。



何か本番が終わってから

ここになんて書こうか考えてて

色んな思いが雑然と浮かんでは消えていて

もっといろいろと言葉を綴らなければいけないような気がしますが。

なかなかまとまりません。


それだけに

自分の演奏云々だけでなく

いろんなことを考えさせられた

そんな公演だった気がします。





今回も

総監督の永田さんはじめ

演出の三浦さん

指揮の渡辺さん

個性あふれる共演者の皆さん

素晴らしいスタッフの皆さん

数えきれない沢山の素敵な出会いがありました。


その全てに感謝すると共に


会場に足を運んで下さったお客様

いつも支えてくれる家族

お世話になったすべての皆様に


心からの感謝を





さて秋にかけて結構忙しいです。

演奏会のお知らせ近日中にUPします。




おまけの写真3枚だけ。

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こちら一幕の衣装。

画像


これが二幕。

画像


有名なアリア「私はティータニア」を歌う時の衣装。劇中劇で妖精の女王に。

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