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zoom RSS 心の解放〜演奏後記・樋口一葉恋の和歌・山梨公演〜

<<   作成日時 : 2012/11/26 12:51   >>

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寒いですねーー。

今日は冷たい雨が降っています。
冬到来です。

先日一瞬ですが
八王子の天気予報にみぞれマークが出たとか出ないとか。。

どちらかと言えば
暑いよりは寒い方が好きですけど。

この冬は雪をどのくらい見る事になるのでしょうね。


さて

寒い時にみる山々はまた格別の趣き

高尾の山を越えて遠く
富士の山を拝む場所まで行ってまいりました。



11月23日「樋口一葉〜恋の和歌〜」山梨県立文学館公演


お天気危ぶまれたのですが
何故か甲府地方はぽっかりと雲が消え
一度も雨に逢いませんでした。

だれか強烈な晴れ女か男でもいたかしら?


文学館の講堂をお借りしての
入場無料のコンサートでした。

500人くらい入るホールに
半分ちょっとくらいお客さんに集まって頂けたかな。

それでも300人弱ですから
本当にありがたい事です。


写真撮り忘れちゃったけど
この講堂、とっても素敵なところですよ。

扇形の客席に少しだけ二階席もあって
客席のシートが緑を基調に
ランダムに黄色やオレンジ、あずき色になっていて
舞台から見たらまるで
紅葉の始まった山を見ているようで綺麗でした。

共演者の一人は
「お団子の色みたいですね」って言っておりましたが(笑)。

音響も思ったより良くて
なかなかのいい空間。

普段は音楽のイベントには殆ど使っていないそうなのですが

一番小さいサイズでいいから
グランドピアノがあったら
楽しいコンサートがいっぱい出来そうなのに。

もったいないー。

とつい・・演奏者目線では思ってしまいました。



で、さて

一葉さんですが。

今回で通算5回目の上演。

うち2回は私は朗読者としての参加でしたから
歌わせて頂くのは3回目です。

ただしこれまでと大きく違うのは
舞台上演だったという事ですね。

今まではお寺のご本堂を借りての演奏でしたから
だいぶ趣が違います。

お寺のご本堂にはご本尊がいらっしゃって
やはりその存在感は凄くて
言って見れば私達がいろいろと
演出をつけすぎる必要がなかったように思うのですが

今回は空間が広くなった事
そして舞台照明を細かく入れて頂いたことで
また違った表現が出来たような気がします。

「色」が入るという事は
情景描写と言う意味でやはり大きい。

それに演者の所作も良く見えるのでやれる事が増えます。

体をどの向きにひねるか
視線をどう使うか
体重移動のスピードにどのくらい変化をつけるか

和歌を歌う時だけではなく
日記の朗読に合わせての所作をするところでも

そのテンションに合わせて
色々と考えながらやって見れたことは
とてもいい経験になったように思います。

まぁその分
だいぶ筋肉痛にもなりましたが(笑)。

勿論まだまだ試行錯誤の段階ではあるので
もしまた再演が叶う時には
もっと研究していけたらとは思います。。。


それとやはり

回数を重ねると
一つまた一つと見える事が増えるなぁと思いました。

「樋口一葉」という女性の内的な世界

もちろんこれだけの作家さんですから
素晴らしい研究者の方は数多

私が何を語れるという訳では全くないですけど。


初演の頃

最初に「たけくらべ」や「十三夜」を読んだ時には

あの物語の最後のサラッとした感じ
まるで水が引くような
「それも世の中の一つのお話」と言われてるような

誤解を恐れずに言うなら
なんとなく達観して
世の中を冷めた目で見ているようなあの感じが

凄く印象にあって。

一葉さんと言うと

頭が良く聡明で
常に冷静さを失わない才女。

っていうイメージがありました。

オペラの台本を読みながら
生活苦と芸術家としての誇りの間で揺れ動く気持ちや
女性として世に出ていく事の難しさ、近代化の波、
いろんな人生の局面に彼女が思う事に
共感する部分はもとより多々あったのですが


なんか今回はむしろ

冷めた視線のその奥にある一葉さんの
人として持っている感情の強さとか
生のエネルギーって言うか

そういうものに自分が呼応する感じがありました。


一葉さん自身で

「日記は人に見せるものじゃない
もし誰かが見たら人は私をきちがいだと言うだろう」

って言ってるとおり。

この頭のいい女性が
こと「半井桃水」との恋愛においては
もの見事に取り乱してるんですよね。

ある時はいとおしく
ある時は憎らしく

「あの時はああ言ったのに」
「あの時はこうしてくれたのに」

「でも会ったら会ったで何も言えなくて」

とか、
未練とか後悔とか猜疑心とか自己嫌悪とか
そういうものに取りつかれて
自分で自分がコントロール出来なくなるような
そんな場面も多々ある。

勿論最終的には
そこを彼女は乗り越える訳ですけど

その瞬間の感情の吐露には
ほんとにすごいエネルギーを感じます。

それは普段抑えているからこそ
なのかもしれないけど

とても生々しくて人間的。


一葉さんの小説よんでると
登場人物が一気に感情を爆発させるようなシーンが時々あって
そこに来ると
私にとっては文語体で読みにくい文章が
なぜかザザザーって心に入ってきて、
あっという間に引き込まれるようなところがあって

ああ。そうなんだなって。
私の中ではそこがリンクするんです。


この人は
頭が良くていつも冷静で
物事を俯瞰する能力に長けていて

でもその奥に
こんなに強い自我と感情を秘めている人なんだなって。

多分その強さがあって
人を惹きつけるんだろうなって。



ものを創り出す人ってそうなのだろうと思うんだけど。

冷静さと
その奥底にグルグルグツグツ渦巻いてる
言葉に出来ない感情の塊みたいなものがある。




そこで

その和歌を歌う。

という事ですが。


仙道先生曰く

「小説よりも彼女の和歌の中に彼女の本来の生がある。」


分かる気がします。

小説は世の中に向けて叫んでいるツール

でも日記の中に出てくる和歌は
彼女の個人的な感情の叫び

だからそこにこそ彼女の本当の心が押し込められている。


「押し込められている。」

そう思います。



例えば

「世の中の嵐を知らでたにかげに
 千歳を過ごす松もありけり」

ただこの和歌を詠んでも
はじめ私の頭の中に流れるのは静かな音でした。
一見読むと、
物事を俯瞰して冷静に語っているように思える。

でも先生がそこに付けた音楽は
物凄く激しい音楽でした。

なんでだろうって最初は思ったんですけど。

この和歌の向こうにある
一葉さんの激しい生のエネルギー。

それを形にして現して解放する。


それがこの作品を歌うという事なのかなと。


あってるか分からないけど

今回はそんなことを強く思いました。





長くなってしまった(汗。



そんな訳で今回も

仙道先生はじめ

お声を掛けて下さった山梨県立文学館の皆様

素晴らしいスタッフ・共演の皆様

そして遠方からも駆けつけて下さった
御来場頂いたお客様全員に

心よりの感謝を


またいつかこの作品が歌える時を夢見つつ。


画像


いつもの八王子のお着物。随分着慣れてきました。

画像


甲州名物ほうとうと鶏モツ煮。美味しいものは欠かしません(笑)。



さて次はコンサート。

またフランスオペラ

マスネの世界に逆戻りです。

歌うのは「タイース」。


ああ、それにしてもまた死ぬ役だ。

今年は一体何回死ぬんだろう(笑)。


12月7日杉並公会堂小ホールです。

御来場お待ちしております!

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2013/07/04 00:11

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